ハロウィンはどちらかというと、
企画した商業系イベントがどう運んでいるものかの報告を
現場からとかデスクからとか 逐一受けては
自分のデータベースへまとめるのに忙しそうだった旦那様へ。
週末なんていう日に世間様並みのお休み貰って家にいたゾロだったのにおぶさって、
どっか行こうよ、ハロイン限定のカップケーキ食いたいなぞと、
聞きようによっては女の子みたいなリクエストを
なあなあ・ねえねえと吹っかけてみたルフィ奥さんだったれど。

　『？ 出掛けないのか？』

一通りの業務連絡も片付いてから、さてと腰を上げたゾロへは、

　『…考えたら外は混んでるかもしんないし。』

そんなこと言い出して、結局 出掛け渋ったのはルフィの方だったり。
何だよ、出掛けたいんじゃなかったのか？と問われ、
そじゃなくてだな…//////// と言葉を濁した奥方としては、
スマホやノーパソより俺に構え〜〜〜っと言いたかっただけだったらしく。
ご町内や駅前までレベルのお出掛けならば、
繁華街クラスでのばか騒ぎにはなってなかろうが、
それでもハロウィンゆかりの何かしらに巻き込まれるのはごめんだとまで。
お祭り騒ぎは大好きなルフィさんに思わせた、
今時の和製ハロウィンはちょっとやりすぎなのかもしんないなと、
イベントの開催サイドにあたる旦那様に、
ちょいと考えさせてしまった一幕だった十月末日が、
こちら様では他人事扱いで通り過ぎ。
明けての日曜もお休みなゾロだったので、
郊外のショッピングモールまで大量の買い出しにという
ルフィ奥様にはこっちの方が嬉し楽しい一大イベントへの参戦と相成って。

　『何かいつも以上に混んでないか。』
　『おうよ。今日は ついたちだかんな。』

某 全国チェーンの大型スーパーが “一の市”なんて銘打って、
毎月一日に破格の大売出しを必ずすると決めてからもうどのくらいになるものか。
他のスーパーや生協までもが追随した結果、
何処でも結構な賑わいとなる “ついたち”となっているのだそうで。
主婦層にはもはや常識、
何だ、ゾロは知らなかったのかなんて、
ルフィ奥さんから、何でだ何でと不思議がられてしまったほど。
これはぬかったと心のメモ帳に書き記したかどうかは定かじゃないが、
前々から欲しい欲しいとねだられていた、
ミニ○ンの真っ黄色な着ぐるみを買って差し上げて。

　“お…。”

月曜の朝は、窓の外から届く静かな気配で明けた。
さあさあと小雨が降っているらしく、
雨だというのに室内がしっとり冷えているから、
これはいよいよの冬の気配だろうかなんて。
広々としたベッドの中、
ぼんやりと浸っていたのも束の間で。
そんな薄ら寒さも微妙に他人事っぽい言い方になったのは、
懐に温かい存在を抱えていたからで。
昔から寒い朝でも剣道の鍛錬があったせいか、
寒さなんてあっさりかなぐり捨てて飛び起きてたクチだったはずなれど。

　“……。”

こちらの胸板へと頬を半分ほど埋めるようにして、
くうかくうかと健やかな寝息を刻む、
幸せな朝の象徴みたいな連れ合い様の寝顔へ。
ついつい口許がほころぶほどに、
朝っぱらから和んでしまう、元学生チャンプの剣豪様で。
彼の側もちょっとは寒かったからだろう、
日頃はもっと奔放な寝相のはずが、
ぎゅむとしがみつくよにこちらへ腕を回してきているようで。
これは今夜あたり、起毛の敷布や二枚重ねの毛布とか引っ張り出す彼かもしれぬ。
そして、
まだそこまでしっかりした防寒は早かったか、
暑い暑いと暴れまわってしまった結果、
明け方こそ寒いのに布団を蹴ってないかとこちらに案じさせる、
そんな冬の初めが始まるんだなぁなんて。
伴侶同士というより、父親めいたことを思い起こさせてしまった朝だったのは、

　“…だから買うのは嫌だと言ってたんだがな。”

ふなっしーのそれも何とか買わせずに通せたというに。
某アメリカアニメの人気者、
バナナが好きな真っ黄色のキャラクターを模した着ぐるみパジャマに
埋もれるようになっておいでの奥方は。
確かにあどけなくって可愛いんだけれど、
こういう傾向へ萌える方ではない身としては、
恋人との供寝と言うより子持ちになったような気分にさせられるから困りもの。

　「……。」

起こすのも忍びないし、キスなどにてちょっかいかけるのも何だか気が引けて。
背中へ脱げてたフード部分ごと、
小さな身を柔く抱きしめ直すにとどめたそうですが。

　“…そっかぁ、こういうのだと萎えるのかゾロ。”

まあ、朝っぱらから手玉にとられるのも何だしなぁなんて、
優しい扱いなのへ
こそり“うくくvv”と微笑ってた奥方だったのは、また別のお話vv




　　　　〜Fine〜　　15.11.02.

　＊いやはや、すとんとスライドするよに寒さが増しましたね。
　　街中はクリスマスムードに塗り替えられるんでしょうか。
　　その前に、公園や街路樹での紅葉を堪能せねばですよねvv

**めるふぉvv

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